kickflow Tech Blog

株式会社kickflowのプロダクト開発本部によるブログ

kickflowのプロダクト開発の振り返り2025

こんにちは、CTOの小林です。今年も私のところにはサンタクロースは来ませんでした。誰か今からでも Switch 2 を私のところに持ってくるように、サンタクロースに伝えておいていただけませんか。

さて、本記事では昨年に引き続き、2025年の kickflow のプロダクト開発を、プロダクト・技術・組織など各方面から振り返ろうと思います。 将来「2025年って俺たち何やってたんだっけ」となったときに振り返られるようにしておくこと、そして今から kickflow への入社を検討してくださる皆様に向けて、現状の kickflow の姿を公開することが目的です。

ちなみに、昨年の振り返り記事はこちらにありますので、ご興味がある方はあわせてお読みください。

tech.kickflow.co.jp

コーディングエージェントがすべてを変えた

ほぼすべての会社が、2025年最大のトピックとしてコーディングエージェントの進化・普及を挙げるのではないでしょうか。

この1年のモデル、あるいはコーディングエージェントの進化は、凄まじいの一言でした。 Claude だけを見ても、Sonnet 3.7(2月)→ Sonnet 4.0 & Opus 4.0(5月)→ Sonnet 4.5(9月)→ Opus 4.5(11月)と、1年の間に何度も大きなアップデートが行われており、その都度性能の進化に驚かされました。

Sonnet 3.7 の頃は、「コーディングエージェントは簡単なタスクや定型タスクなら任せられるが、大規模コードベースでの開発やリファクタリングには使えない。異常に手が早いジュニアエンジニア」くらいの評価でしたが、最新の Opus 4.5 では、かなり複雑な機能開発やリファクタリングもできるようになっています。 1年足らずでのこの進化を考えると、来年にはシニアエンジニアクラスの設計・実装能力を身につけている可能性も十分にありそうです。

kickflow では今年の4月頃から、Cline、Roo Code、Claude Code と順番にコーディングエージェントを導入してきました。 現在は Claude Code をメインのコーディングエージェントとして使っているメンバーが多いですが、自分を含む一部のメンバーは Codex CLI も併用しています。

Codex は日常使いにするには動作が遅いことや、カスタムコマンドなどが使えない点がチーム全体で利用するには微妙なのですが、Opus 4.5 でも解決できない複雑なバグやリファクタリングでも、GPT-5.2-Codex に投げると一撃で解決できたりするため、「ここぞ」というときに使っています。

AI による開発生産性向上の指標の1つとして、マージされた PR 数を見ていますが、2倍・3倍とまではいかないものの、今年の前半に比べて後半は数値が上昇している傾向にあります。

今年のマージされたPR数と7日間平均

また、コーディングが AI によって爆速化すると、次は開発パイプラインの前後のフェーズ(ドキュメント作成/デザイン/コードレビュー/QA)がボトルネックになります。 こうしたボトルネックの解消にも AI を活用しています。

仕様書などのドキュメント作成については、AI の能力を最大限活用しようとすると、ソースコードと同じ場所で管理するのが最適解になるため、

  • 仕様書を esa で管理するのをやめ、GitHub でソースコードとセットで管理する
  • プロダクトマネージャーが Roo Code で仕様書を作成し、GitHub にコミットする

という運用に切り替えました。

コードレビューにおいては、昨年から使用していた CodeRabbit が、内部モデルの進化と CodeRabbit 自体の改善により、劇的にレビュー能力を向上させています。 もはや純粋な実装上の不具合の発見においては、多くの人間のエンジニアよりも細かい点まで指摘できるようになっています。

人間のレビュアーの役割は、実装上の不具合の発見やコーディング規約の遵守確認といった「コードそのもの」のレビューから、

  • AI によるレビューが適切に行われているか
  • 人間が AI のレビュー内容に正しく対応しているか

といった、AI の振る舞いや AI と人間を含む全体プロセスの監視へと変わりつつあります。

現在はまだ、CodeRabbit によるレビューの後に人間のエンジニアがレビューするプロセスにしていますが、将来的には「AI が書いたコードを別の AI がレビューし、その内容を AI が判断して修正・コミットする」といった、AI だけで開発が完結する時代が来るかもしれません。

「ソフトウェア開発において AI がこのまま進化すると、いずれ人間のエンジニアはいらなくなるのではないか」といった言説をたまに見かけますが、自分はまったくそうは思っていません。 (本当のジュニアクラスは別として)ソフトウェアエンジニアの仕事は、設計や実装だけに閉じているわけではなく、顧客課題を理解して「何を作るか/作らないか」を意思決定したり、開発に必要なステークホルダーとコミュニケーションを取ることも多く含まれます。

また、AI 活用はツールを契約して導入すれば終わりというものでもなく、コーディングエージェント1つ取っても、エンジニアが最新動向をキャッチアップしながら継続的にチューニングしています。 特にマネージャーやリーダークラスに近づくほど、こうした業務の比率は高くなります。

AI が大量にコードを書くようになるほど、人間にしかできないソフトスキルを求められる業務や、AI を駆使した業務フローを構築・運用する仕事は増えていくでしょう。 これまでのソフトウェアエンジニアとは求められるスキルは変わっていきますが、時代の変化に追従できるエンジニアは今後も求められ続けると思います。

組織拡大とプロダクト戦略の見直し

2025年は、kickflow のプロダクト組織がようやく「組織らしく」なった1年でした。 創業以来不在だった専任のプロダクトマネージャーが入社したほか、QA マネージャーやテクニカルサポートのマネージャーなど、ミドルマネジメント層が手厚くなりました。

主に、

  • PdM が入社し、プロダクト戦略を考えられるようになった
  • 比較的簡単に実現可能な顧客要望が減ってきた
  • 開発組織の規模が大きくなり、事前にある程度の計画を立てないと動きづらくなってきた

といった背景から、これまでの VoC 数をベースにした優先度付けから、より戦略的に強化したい顧客ゾーンに向けた機能開発・改善へとリソースを集中投下する方針への移行を検討しています。

この点については、経営チームと PdM・EM を中心に、中期経営計画やビジネス側の戦略と整合性の取れたプロダクト戦略を議論しているところです。

新規プロダクトを作り始めた

PdM の入社により、CTO(私)は kickflow の開発ラインから離れ、新規プロダクトの開発に取り組み始めました。

新規プロダクトはスクラップ&ビルドを繰り返しており、現在開発しているプロダクトでようやくローンチまで進めそうな段階です。 当然、新規プロダクトの立ち上げにも AI を活用しています。

kickflow の開発でも AI を駆使していますが、ゼロベースでのスタートかつ開発者が自分一人ということもあり、kickflow 以上にアグレッシブな AI 活用フローを構築しています。 体感としては、従来であれば1年かけて開発していたものが、AI フル活用スタイルでは3か月程度で作れると感じています。

スクラップ&ビルドの初期段階では Opus 4.0 を使っていましたが、アプリケーションが中規模になると破綻しやすく、AI コーディングの限界を感じていました。 現在は Opus 4.5 と GPT-5.2-Codex を併用しており、はるかに大規模なアプリケーションになっても十分に戦えています。

自分自身で開発していて感じるのは、AI による新規プロダクト開発のスピードは、弊社に限らずどの会社でも爆速化していくということです。 その結果、単にアプリケーションを素早く開発できるだけでは、競合優位性にはならなくなります。

また、機能がシンプルなサービス(例:商談の議事録化など)は、瞬時に模倣されるか、ChatGPT や Gemini の進化によって代替されてしまうでしょう。

我々 SaaS 企業は、こうした時代を生き残るために、複雑な顧客業務や課題を深く理解し、プロダクトだけでなく営業や CS を巻き込んだ総合的なソリューションを提供することで価値を生み出していく必要があると考えています。

kickflow が創業以来取り組んできた中堅〜エンタープライズ領域は、顧客課題が非常に複雑に絡み合っており、スタートアップらしく「シンプルなソリューションで刺しに行く」だけでは戦いにくい領域です。 これらの課題を解決するには、顧客課題を深く理解することに加え、十分な機能性やエンタープライズレベルのセキュリティ・スケーラビリティを兼ね備えた、ヘビーな開発を行う必要があります。

これまでの kickflow 事業で培ったノウハウと AI 活用を武器に、kickflow は今後も中堅〜エンタープライズ向けに新しいプロダクトを開発していく予定です。

採用広報チームの立ち上げ

2024年後半から2025年前半にかけて、エンジニア採用があまりにうまくいかなかったため、CTO 直下に採用広報チームを立ち上げました。 これまで Notion で簡易的に作っていた採用サイトや、そこに埋め込んでいた会社紹介資料をすべてリニューアルしました。

また、採用チームとプロダクト開発本部に協力してもらい、PRODUCT HISTORY CONFERENCE 2025 に初めてスポンサーブースを出展しました。 採用目的でのブース出展は初めてだったため手探りでしたが、概ね好評だったようで安心しています。 特にブース企画として実施した難易度ベリーハードの「効き AI クイズ」は非常に好評でした。 私はスポンサーセッションで登壇しましたので、ご興味のある方は以下の資料をご覧ください。

speakerdeck.com

次回は EMConf 2026 にスポンサーブースを出展する予定ですので、お越しの方はぜひお立ち寄りください。

これらの活動がどれだけ採用に寄与しているかの因果関係は不明ですが、今年ようやくバックエンドエンジニアの採用が2名決まりました。 バックエンドエンジニアの採用は、実に1年半ぶりとなります。

kickflow だけでなく、新規プロダクトも2026年には1〜2本ローンチ予定(しかも比較的開発規模が大きめ)ですので、エンジニア採用は今後も積極的に強化していきます。

まとめ

2020年の創業以来を振り返ってみても、この1年ほど開発やビジネスの前提そのものが大きく変わった年はなかったと思います。 来年も今年と同じペースで AI が進化するかは分かりませんが、しばらくの間、ソフトウェア開発を取り巻く環境が大きく変化し続けることは間違いありません。

常に最新技術やトレンドにアンテナを張り、kickflow らしい戦い方でチャレンジし続けていこうと思います。 それでは、皆様よいお年を!


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careers.kickflow.co.jp