こんにちは、CTOの小林です。今年のM-1グランプリも最高でしたね！

さて、2024年も残り僅かということで、今日は2024年のkickflowのプロダクト開発をプロダクト・組織・技術など各観点で振り返ろうと思います。個別のリリース内容や技術を深堀りするよりは、全体を広く浅く紹介する記事になります。もっと詳細が知りたいと思った方は、ぜひエンジニア採用のカジュアル面談にご応募いただければと思います（←いつもの宣伝です）。

kickflowの「爆速開発」

kickflowのバリューには、

HRT
課題ドリブン
圧倒的当事者意識

の3つがありますが、kickflowの開発組織は会社全体のバリューに加えて「爆速開発」を掲げています。 kickflowはワークフローという既存領域に後発で参入しているスタートアップなので、他社と同じようなスピードで同じことをやっていても競合に追いつくことはできません。よって、kickflowの開発組織では「いかに早く価値をデプロイできるか」を忘れずに普段開発をしています。

具体的に開発スピードを維持するために、以下の2点を重視しています。

余計なものを作らない
開発中のコミュニケーションコストを極力減らす

「余計なものを作らない」については、まずは「原則として顧客の課題を元に開発優先度を決めること」、さらに「各課題を解決する機能を作るときに100%完璧でなくてもまず出してみて、顧客の声を集めること」の2つを実践しています。顧客が欲していないものを作ってしまうと開発工数が無駄になるだけでなく、余計な機能が残り続ける仕様・コード上の負債になってしまうため、過剰品質はできるだけ避けるように徹底しています。kickflowでは主担当のエンジニアが仕様書を作成し、それをチーム内でレビューして固めていくのですが、自分はレビューの際に「この部分は一部のお客様しか使わなさそうだからいらなくない？」という指摘をすることが多いです。

「開発中のコミュニケーションコストを極力減らす」については、主担当のエンジニアが仕様の作成からバックエンドの実装、フロントエンドの実装、デプロイ、リリース後の監視まで一気通貫で行うことで、開発中のコミュニケーションコストがほとんどない状態を作っています。来年以降のエンジニアの増員次第ではチームを2チーム体制とする可能性もありますが、当面はスピードを維持するために職能別のチーム分割はせずに機能別や目的別のチーム分割をする方針です。

こうした開発文化と人員の増加もあり、2024年はサービスサイトで告知したものだけで95件の新機能をリリースしました。創業した約5年前から考えると、顧客数・売上高・社員数が信じられないくらいの規模にまで成長したkickflowですが、1年でこれだけのアウトプットを出し続けられているのがkickflowの最大の強みだと思っています。今後も事業拡大・組織拡大に引きずられて失速することなく、これまで以上の質とスピードで顧客に価値を提供していきます。

AIオプションやオートメーションなど新しい付加価値の創出

kickflowでは、これまでほとんどすべての機能開発をVOC（顧客の声）を元に優先度を付けて開発してきました。ところが、優先度の高い機能から順番にリリースされていくのに伴い、多くの顧客から要望されるような優先度の高い機能開発が徐々に減ってきました。一言で言うと、バックログにある新機能が小粒なものになってきました。そこで、2024年の後半はこれまでと少しだけ方向性を変えて、「kickflowでできること・やりたいことの幅を広げる」ための新機能をいくつか開発してみることにしました。今年リリースした「AIオプション」や「オートメーション」といった新機能はこうした背景で誕生した機能となります。

kickflow.com

なお、AIオプションの開発においては、社内向けにAIボットを開発した際のナレッジを十分に活かすことができました（AIボットの開発について気になる方は、以下のリンク先も読んでみてください）。生成AIはプロダクト面でも業務改善の面でもまだまだ活用の余地があるので、今後も継続的に投資していく予定です。

tech.kickflow.co.jp

技術面の変化

kickflowの技術スタック（Rails・Vue・Heroku）は創業期から大きく変わっていませんが、各種ライブラリやフレームワークの追従や開発プロセスの改善などは随時おこないました。 2024年の主なトピックは下記の通りです。

バックエンド・インフラ
- YJITの有効化
- Herokuのdynoタイプの見直し（Performance-M/Lへのスケールアップ）
- PulumiによるIaCの導入
フロントエンド
- Nuxt 3へのアップデート
- 共通コンポーネントの整備
- ESLint flat configへの移行
開発プロセス
- CodeRabbitによるコードレビューの一部自動化
- GitHub ActionからAutifyのE2Eを実行
- QA環境へのデプロイをSlackコマンドから実行
- AsanaとSlackを連携し、開発・QA間の連携フロー見直し

2025年以降も基本的な技術スタックを変更する予定は今のところありませんが、Rails 8やNuxt 4へのアップデートなどを随時やっていく予定です。

組織の拡大

2024年は組織面でも大きく変わりました。大きい変化だけでも以下のような変化がありました。

エンジニアの人数が2名から5名に増加　※CTO除く。業務委託含む。
エンジニアリングマネージャー（EM）の登用
QAエンジニアの人数が1名から2名に増加
デザインチーム・テクニカルサポートチーム・CREチームの立ち上げ

個人的に一番大きなトピックはEMの登用です。最古参のエンジニアがEMになってくれたので、安心して開発チームを任せられる状態になりました。他のチームはまだマネージャーがいないため自分がマネージャーを兼務している状態なのですが、今後もマネージャーは積極的に採用・登用していき、CTOがいなくても現場が機動的に動ける開発体制を作っていきます。EMについても、来年以降さらにエンジニアを増員していく予定があるため、二人目のEMの登用や採用を進めていきます。